ポジティブ佐渡人に迫る雑誌

furumachi2012-10-05

5年ほど前だっただろうか。当時幼稚園児だった長男が「きょう西大畑公園で雑誌の取材をされたよ」と話していた。妻に聞いたら、取材、撮影から編集まで全部一人でやって、一冊の雑誌を作るのだとか。正直その時は、新潟にも変わった人がいるもんだな、と思ったっけ。

新潟インタビューマガジン「LIFE-mag」が、約3年の休刊を経て復刊した。復刊第1号は佐渡の特集。佐渡に暮らし、伝統文化や農業などに携わる11人の生き様に迫っている。先日、発行編集人の小林弘樹さんを囲んで懇親会があるというので、参加させてもらった。

取材、撮影から編集、営業まで全部一人でやると聞いて、どんなに熱い方なんだろうと(勝手に)思っていた。実際お会いしたら、さらりとしたソフトな印象の方だったのが少し意外だった。聞けば、佐渡の知り合いの知り合いの知り合いの家に数ヵ月滞在して取材を重ねたのだという。やっぱり思いは熱いようだ。

佐渡は面白いところだと思う。人口は新潟市中央区の半分よりも少ない。過疎が進み、島ごと限界集落とも言える状況に近づきつつある。でも面白い活動をしている人がたくさんいて、その密度も深さも新潟市より濃く深い。だから鼓童や文弥人形などの伝統文化が残り、「ダコタ号」のようなエピソードが生まれるのだろう。

やはり島というのがポイントなのかな。進学や就職で島を出た人が島へ戻る時、島外出身者が初めて島を訪れる時。この人生の転機の度合いは、地続きの土地に行くよりもきっと大きい。このことが、登場する人の話に深みを与えている。そんな転機を経ているためか、みんな佐渡の暮らしにポジティブで、読んでて心地いい。

登場する佐渡の人々の話がポジティブなのは、きっと聞き手の小林さんがポジティブだから。創刊から4号出したところで、約3年間休刊。その間サラリーマンをして、ついに復刊したバイタリティーはすごい。次は来年2月発刊で、燕三条エリアを特集する予定という。佐渡とは違う意味で個性ある人が多そうで、楽しみだ。

約5年前に長男を取材した時のことを、小林さんが覚えていてくれたのはうれしかったなぁ。あの時幼稚園児だった長男ももう10歳。あまり変わらないような気もしているけど、さらに5年後は中学生。この変化はきっと大きい。こうして同じ人を5年、10年と追いかけ取材するのも面白いかもしれないですよ、小林さん。