芸術祭スタートは保育園跡

furumachi2012-07-22

保育園跡の建物に並ぶのは、素朴なカタチをした陶器たち。なんでもここにはかつて窯があったのだとか。なぜ保育園に窯?と思うけど、味わいのある建物に素朴な陶器が不思議と似合う。

先週から新潟市の各所で「水と土の芸術祭」が始まった。今回の芸術祭で子どもたちと一緒に初めて訪ねたのは、この春閉園した礎保育園跡で行われている「One cup story」というNadegata Instant Partyさんのプロジェクト。ここにかつてあったという窯を再現して陶器を作ろうという取り組みなのだとか。

保育園の前を通りかかることはあっても、建物の中に入るのは初めて。小さくて古い木造の建物は、ピンクや黄緑色に塗られた壁や柱のペンキが剥げかけてて、なんだか懐かしい気分になる。すり減った木の床も歴史を感じさせる。こんなに味わいある建物だったとは。思わずあちこち撮ってみる。だからいつもより写真多め。

今月はじめには園庭だった場所に作った窯に火入れして実際に陶器を焼いたそうで、建物のあちこちにはそんな陶器を使った展示がずらり。でも陶器を作ることだけが目的ではなくて、歴史あるこの建物が持つ記憶を呼び覚まそうというのがこのプロジェクトの目指すところなんだろうなぁ、などと分かったふりをしてみる。

そんな展示をよそに、子どもたちはかくれんぼしたり鬼ごっこをしたり。じっくり見学したいお客さんには迷惑だし、展示された陶器が割れたりしたら大変!と思ったけど、子どもたちの遊ぶ様子というのもこの建物の持つ記憶かな…と思ったりして。数ヵ月ぶりに響く子どもたちの歓声に、建物も喜んでくれたらいいけど。

取り壊される予定だった建物に、新たな命を吹き込むこのプロジェクト。芸術祭めぐりのスタートにふさわしく、ほんわかいい気分になった。噂に聞くところでは万代島のメーン会場も評判がいいようだし、今回の芸術祭はなかなかいいんじゃない? 共感がじんわり広がっていくといいなぁと、期待している。