古本市から世の中が見える

furumachi2012-06-10

一箱古本市をやるうちに、気づいたら社会派になっていた」と、仕掛け人の南陀楼綾繁さん。郊外店や通販サイトに負けて書店のなくなった地方都市の商店街で古本市がお客を集めているという構図は、本に携わる人にとっては僕らが思う以上に複雑だ。

日曜日に学校町通りで行われた一箱古本市。天候に恵まれて、今回もTwitterユーザー有志で出店した「新潟ソーシャル書店」はそこそこの売上を上げ、何より本好きポジティブな雰囲気に満たされ楽しい時間を過ごすことができた。売上は東日本大震災の復興支援に充てることにしている。

その後、学校町通り近くの北書店で行われた古本市の表彰式で、最近『「本屋」は死なない』という本を書き下ろしされた石橋毅史さんと南陀楼綾繁さんのトークイベントが行われた。冒頭の社会派云々はここで出てきた話。

古町十字路に長らく営業していた書店「北光社」が閉店したのが約2年前。当時店長をされていた佐藤雄一さんの棚づくりにはファンが多く、閉店を惜しむ声や様々なサポートに応える形で佐藤さんは北書店をオープンした。北光社は閉店したけれど、古町界隈で「本屋」は死ななかった。

最近「買物難民」という言葉が話題になっている。でも本屋の買物難民はより深刻だ。地方都市の中心市街地に本屋のない街も増えているという。古町は本屋が何軒かあってよかったと今は思えるけど、いつまで安泰かは分からない。だからAmazonよりも地元の本屋さんで買おうね、という話。

だからというわけではないけど、たまたま北書店で見つけた本が面白そうで買ってきた。こういう出会いって、本屋さんならではの目利きや棚づくりのおかげ。だから、いいと思ったものは無機質な通販サイトではなく、きちんとお店で買いたい。これも「シェア型消費」と言えるんじゃないかな。