東京は谷の街、新潟は…?

furumachi2012-05-21

渋谷に四谷に千駄ヶ谷…。地名だけ見ても、東京は谷が多い街というのが分かる。関東平野なのにこんなに起伏があるの?と真っ平な新潟平野で育った僕は思ってしまう。

そんな東京の凹凸な地形を楽しんでしまおうというのが「東京スリバチ地形散歩」という本。ブラタモリのプロデューサー尾関憲一さんも、3月の堀割再生シンポジウムでおすすめしていた。著者の皆川典久さんはスリバチ状の地形をこよなく愛する「東京スリバチ学会」の会長なのだとか。

東京には上野台、本郷台、豊島台、淀橋台、目黒台、荏原台、久が原台の7つの丘と、これらを隔てる神田川渋谷川など6本の川筋、そして無数の谷があるという。台地を刻む東京の谷はプリンをスプーンですくったようなカタチになっているところが多く、これを「スリバチ」と呼んでいる。

この本では、都心近くの六本木、四谷、渋谷や、山の手の碑文谷、世田谷、幡ヶ谷など、都会にひそむスリバチを3Dマップや断面図で詳しく紹介している。地形だけでなくて歴史的背景や地名の意味など様々なアプローチでスリバチに迫っており、東京をよく知らない人にも楽しめそうだ。

スリバチには一級から三級まであるそうで、四方を囲まれた谷が「一級スリバチ」。そんな地形あるの?と思ったら、なんと実は新潟市にも一級スリバチがあるらしい。西大畑公園の丘と海沿いの砂丘にはさまれた谷間になった一帯が一級スリバチなのだとか。こんな近くにスリバチが!?

・新潟のスリバチ? - みなとまち新潟 日和山 五合目から - Yahoo!ブログ
http://blogs.yahoo.co.jp/hiyoriyama5/63083960.html

東京が「谷」の街なら、新潟は石山に姥ケ山、紫竹山…と「山」の街と言えるかも。この山とは砂丘のこと。新潟平野には日本海の波で作られた砂丘が幾重にも連なっていて、その間はスリバチになっていた…はず。真っ平に見える場所でも、微地形を探ってみると何か発見があるのかも。

東京のスリバチをめぐる散歩本だけど、身近な地元にも思いをめぐらせながら読んでみると面白い。そういえば新潟市砂丘もキワに沿って点々と神社があるなぁ…とか、意外な共通点が見つかりそうだ。