雨でも平気な高田の雁木

furumachi2012-04-24

あいにくの雨風だったけど、そのおかげで雁木通りの良さを再認識した。さすが江戸時代から続く雪国の知恵。これが高田公園まで続いていたら言うことなかったんだけど…。

上越市高田の雁木通りと高田公園の満開の桜を撮り歩くフォトウォークに参加してきた。上越支社勤務から帰って来て以来、高田を訪ねるのは約8年ぶり。人通りもほとんどなくひっそりと静まりかえる雁木の街は独特の雰囲気があって、凸凹でつまづきそうになる雁木の路面も懐かしい。

高田の雁木は、道路に面した家が私有地を通路として提供し、軒も各戸が設置している。だから路面は各戸ごとに凸凹があり、軒もそれぞれ大きさが違う。バリアフリーではないかもしれないけれど、雪国ならではの「助け合い」が形になっている。雨風でも難なく街歩きができるのは助かる。

戦災に遭わなかった高田には、今も多くの古い町家が残る。雁木とともに趣ある雰囲気を醸し出す北本町の高野味噌醤油醸造店は江戸末期の建物で、建物自体に昔からの糀菌が生きているのだとか。古い建物が伝統の味を守っているんだなぁ。

高田の町家は、雁木の通りから奥に向かって、店、茶の間、座敷、土縁、坪庭、蔵と続いて、茶の間に明かりとりの吹き抜けがあるのが特徴なのだと、麻製品の問屋を長年やってきたという高野商店のご主人が教えてくれた。新潟市内など下越の町家とは少し造りが違うみたいで、興味深い。

最近では、マンション計画で取り壊し直前だった染物店を市が買い取ったり、明治時代に建てられた古い映画館の保存運動が持ち上がったりと、古い街並みを残そうとする動きが出始めているという。でも一方で、駐車場などで雁木が途切れている箇所が8年前に比べて増えたようにも感じた。

悪天候の時などでも難なく街を歩ける雁木通りを次世代にもしっかり引き継げるといいのに。でも歩いている人がこれだけ少ないのを見ると、仕方ないのかもと思ってしまう。雁木通り沿いは民家も多いみたいなんだけど、みんなクルマで郊外のショッピングモールなどへ行ってしまうのかな。

雁木通りを撮り歩いた後は、今回のメーンの高田公園へ。冷たい風と雨が吹きつける中だったけど、満開の桜の下、結構賑わっていた。上越から進学で東京などに行った人は、高田公園の観桜会に合わせて帰省すると聞いたことがある。この満開の桜が上越市民の心の拠り所なのだろう。

この賑わいが雁木通りにも回遊して、街全体として賑わいが生み出せれば、今と少し違う展開もありうるのに。そんなことを思った高田のフォトウォークだった。どこでも意外と、課題は似たような感じなのかもしれない。