古町は小路と長屋の「ムラ」

furumachi2012-04-01

こうして改めて少し高いところから街を眺めると、鍋茶屋だけではなく木造家屋が結構立ち並んでいることが分かる。通りを歩くだけでは見えない街の魅力が、アーケードと看板建築の奥に眠っているんだなぁ。

今日から新年度。進学や異動で、初めて新潟に来た人もいるはず。新潟市信濃川をはさんで東西に市街地が広がり、中心街もいくつかの表情を持つ。そんな新潟の街を何回かに分けて紹介したい。隈研吾さんの著書に刺激されて「新・都市論ニイガタ」的に。全然アカデミックではないけど。

まず初回は古町。信濃川日本海、関屋分水に囲まれた「新潟島」に栄えたもともとの新潟の繁華街だけど、近年では万代や駅周辺に中心街の座を奪われ、またマイカーで郊外店へ買い物に行くのがメーンになったことで、大型店が次々閉店したり人通りも減ったりと、寂しい状況にある。

でもそんな古町だけど、タカラ探し感覚で遊べる面白い街だと思うんだよね。写真の古町8・9のいわゆる飲み屋街や、古町1から4番町の上古町と言われるエリアが特にそう。今も木造の長屋とその間を縫う狭い小路が街のあちこちにあって、小路の奥に思いがけなく面白い店があったりする。

この一帯は、コンビニを除いて全国チェーンのお店がほとんどない。古町8・9は飲み屋街だけど全国チェーンの居酒屋は数軒しかないし、上古町も個人店主のこだわりでセレクトした服飾店や雑貨店ばかり。隈研吾さんの著書にならえば「ムラ」的なヒューマンスケールの街といえる。

上古町と飲み屋街の間を結ぶ立派なオーバーアーケードが、古町の中心部となる古町モール。ここ数年空き店舗が増えて寂しくなっているけど、なかでも旧大和デパート跡の行方が注目される。今は山下家具店が仮店舗を営業しているけど、5年後の完成を目指し再開発の計画が動き出している。

最近の報道によると、商業施設や老人ホーム、防災施設などを配した9階建ての複合ビルを建設するらしい。でも…本当にうまくいくのかな。むしろ今の建物を解体した跡に小路と長屋を作るなど「ムラ」的なヒューマンスケールで進める方が、街の個性や賑わいにつながるような気がしている。

新潟の街のあれこれを個人的視点で紹介する「新・都市論ニイガタ」的な。次回以降は万代、駅南、朱鷺メッセを気まぐれに取り上げるつもり。これまで書いた内容の焼き直しという気もしなくはないけど、どうなることやら。