ディープ横浜・再生の街編

furumachi2012-03-28

横浜・黄金町。そこはかつて、違法風俗店が高架下にびっしり並び、夜ともなればピンクの明かりが灯る店先にアジア系の女性がずらり並んで客引きをする街であった。

横浜に暮らして数ヵ月過ぎた頃だった。この街を知った時の衝撃と言ったら。これまで信じていたこの国の安心安全の根底が崩れ去ってしまったかのような、そんな衝撃。当時、店の数は100軒以上はあったと思う。戦後まもなくの混乱期か東南アジアのような風景が、平成日本に存在していた。

警察も保健所も何やってんのかと。黙認状態? ここまで来ると街はおしまいだ。NHKの「ブラタモリ」で歌舞伎町は撮影禁止という話があったけど、この黄金町は素人もカメラを向けることは決して許されない。堂々と存在しているにもかかわらず、ここはあってはいけない街だったのだ。

一応断っておくと、僕は別に清潔でキレイキレイな街がいいとは思わない。ただ黄金町はひどすぎた。だから数年前に一斉摘発が行われ違法風俗店が一掃されたと聞いた時は、本当によかったと思った。実際のところは分からないけど、中田前市長の唯一のグッジョブじゃないかと思うほどだ。

一昨年に行った時には、高架下に空き家となった建物群がずらりとまだ残り、異様にがらんどうになった街並みが広がっていた。それが今回は高架下の建物群は一掃され、コンクリート打ちっぱなしでしゃれた雰囲気のショップやアトリエ、イベントスペースなどが並ぶ一角ができつつあった。

街は再生できる。地元の人の強い意志があれば。4月には川沿いの桜並木で桜まつりも行われる。撮影禁止だった街が、人々の集う温かみのある街に変わりつつある。ここにアート拠点を設け地道な活動を行なっているのは、僕の母校の後輩たちだ。直接は知らないけど、ちょっと誇らしい。

数年後にはここがニューヨークのDUMBOみたいなアートエリアになっているのかも。そんな予感すらある。「Down Under Keikyu Kogane-chou Overpass」でDUKKO(ダッコ)とか、いいんじゃない?