堀のある街は楽しい街?

furumachi2012-03-10

「西堀って、昔は堀だったんでしょ。今も堀があればよかったのに」とウチの長男。「どうして?」「だって四つの橋をぐるぐるとブレーブボードで走ってまわったら、楽しそう」…はぁ、そういうことね。

きょう西堀の三業会館で、堀割再生NPOが主催するまちづくりシンポジウムが行われた。NHKブラタモリ」プロデューサーの尾関憲一さんの話が聞けるとあって、三業会館のホールはほぼ満員の盛況ぶり。人気街歩き番組の仕掛け人は新潟の堀再生への動きをどう考えるのか、興味深く聞いた。

街を歩きながら、昔の人の気配をたぐり寄せていくというスタイルが人気のこの番組。人気の背景には、古いものを壊し新しいものを次々追い求めてきた街の発展のカタチに疑問を抱き、街をもう一度足元からとらえ直してみようという動きがあるのではないか、と尾関さんは話す。なるほど。

そう考えると、新潟の堀再生の動きも一緒かもしれない。クルマ社会へ時代が移るなかで、堀を埋めて道路にして、さらには一方通行から両方通行にしたものの、結局どこにでもある特徴のない街になってしまった。ここでもう一度考え直して、この街らしさを前面に出していこうじゃないかと。

ここまでは分かる。でも、この街らしさを出すために堀を復元します!と言ったところで、果たしてどれだけの支持が得られるか。ここに今一歩踏み出せない部分があるように思う。なぜ堀? だって港町でしょ、と言っても、港と堀と街をつなぐストーリーを今ひとつ描き切れていないような。

「幅広い人にいかに面白いと思ってもらえるかが大事」と尾関さん。そう。まちづくりって、つい当事者たちが熱くなりすぎて、まわりの人はついていけなくなりがち。ここはマニアックになりすぎずに、広く楽しんでもらうことを常に考えて番組を作っている尾関さんならではの視点だよなぁ。

港町の歴史をちゃんと考証してカミからシモまで堀を全面復元するよりは、花街の歴史と風情をかろうじて今に残す8・9番町を堀で囲って、屋台と夜店の特区にします!くらいがいいのかもしれない。商店街にアーケードを作る感覚で、絵になる風景として堀を作っちゃってもいいんじゃない?

それじゃあテーマパークじゃないか、と怒る人もいるかもしれない。いや、いっそテーマパークでいいのかも。とかく分かりにくくて敷居が高いと言われがちな芸妓さんの世界。ここはテーマパークらしく、分かりやすく楽しみやすく。街を歩くだけで花街の雰囲気が楽しめるというのもいい。

そう考えるとブレーブボードで一周したいというのも、堀があって楽しいと思える要素のひとつかもしれないなぁ。そういえば長男は小学校で、堀のあった街の歴史と痕跡をたどる授業をやったらしい。今度この授業のことをちゃんと聞いてみようかな。