シモから広がる創造都市

山形の酒田に行くと、港に面したレトロな木造の倉庫群に「庄内米資料館」という施設がある。だったら新潟の港にも「コシヒカリ資料館」があってもいいのかも。

先日、FM KENTOが主催する「KENTO大学」の新潟まちづくり学という講義に参加してきた。この新潟まちづくり学は今回が3回目で、今回は「行政編」として新潟市政策監の高橋建造さんが新潟市の目指す創造都市について話すというもの。「ゆるい」と言われがちなこの街が、どこへ向かおうとしているのかが分かる刺激的な内容だった。

新潟市は『誇るべき食文化を国内外に発信し、地域の活性化につなげるため』、食文化分野での「ユネスコ創造都市ネットワーク」の認定を目指している。認定されれば食文化分野では国内初となる。
新潟市 - ユネスコ創造都市ネットワーク
http://www.city.niigata.jp/info/unesco/

新潟市を全国に売り込むのに「食」というコンテンツは理解されやすい。米も酒も本当は新潟市だけでなく県全体に共通するものだけど、県全体を後背地に持つゲートシティとして考えればそう無理はない。高橋さんはiPhoneを例に、既存コンテンツを組み合わせて感性や感覚に訴える形で再編集していくことが必要と話されていた。

そこで思い出したのが酒田の庄内米資料館。ここを見れば、最上川流域から集まった米が酒田の港から北前船で運ばれたという歴史的背景が分かるようになっている。山居倉庫のレトロな雰囲気とも相まって、酒田=歴史ある港町という街のイメージが伝わってくる。

新潟の港も信濃川阿賀野川の川港として同じような歴史的背景があるんだけど、酒田と比べると港町、食の街としての「見える化」がまだ足りない気がしている。例えば、みなとぴあの辺りにコシヒカリと日本酒の歴史などが分かる資料館的なものがあれば、街のイメージが伝わりやすくなるかも。

今みなとぴあにある旧第四銀行住吉町支店は、かつての米穀取引所と関連が深かったらしい。みなとぴあなら港町らしい風景を楽しむことができるし、ここで試食や試飲もできれば観光客の感覚に訴えることもできる。近くに百年以上の歴史を重ねた味噌蔵もあるし、ちょっと歩けば地元の野菜や魚が並ぶ下本町の市場もある。

シモマチの既存コンテンツから創造都市への道が続いていくのかも、と勝手な妄想が広がった夜だった。