精密機械よりアメ車的発想で

最近ネットで見つけて気になった言葉をいくつか。

先日佐渡に行った時、相川の京町通りで見つけた「のらいぬカフェ」というお店。金山の鉱山長の住まいだった古い建物を改装したとかで、門から覗き見ただけでも味わいある雰囲気が気になるお店だったけど、もともとは相川に残る旧税務署の洋館を改装しようとしていたらしい。そのやりとりがいかにもお役所的で「あちゃー」って。

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「すいません。羽田商店街にある“旧・税務署”を借りたいんですが、お話をきいていただけますか」
「あーーダメダメ。あそこは資料室だから。絶対貸せないよ」
「そこを何とか・・・」
「ダメだったら!あんな大量の資料、どこにもってくの」
終わりました・・・
一般市民はお役人に、頭ごなしに拒否されると もう訴える術がない事に気がつきました。 手持ちのカードはありません。
町の活性化に繋がる事だからお役所の方が相談にのってくれると思いました。
甘かったです。
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◇門前払い | のらいぬcafe【佐渡島
http://norainu-cafe.jugem.jp/?eid=580987

旧税務署の洋館は結局今は廃墟同然になってしまっているみたい。もったいない…。これって佐渡に限った話ではなくて日本の公共空間に共通したことなんだろうなぁと思ったのが、昨日もここに少し書いた建築家・馬場正尊さんのインタビュー記事。馬場さんはこう話している。

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日本の公共空間って、どうも「役所が管轄しているところ」というイメージなんですよね。例えば児童公園を 使ってイベントやインスタレーションの展示をやろうと 思って、役所に行くとします。そしたらその行政の人たちは、あたかも自分たちの所有物のように「ああ、やっちゃダメだよ」と言う。なぜかと聞いても、「いや、そういうふうになっているから」みたいな対応で、そこに理由はないんです。本来公園は市民の人が豊かな生活をするために使わなければいけないのに、余計なルールがすごく多くて。
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◇「東京R不動産」仕掛け人・馬場正尊が次に目指すもの?!H8x6&6u4V$r$[$0$9!I!? - ヒット研究所 - 日経トレンディネット
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/column/20111107/1038544/?ST=hitken&P=5

誰も幸せにしない(しかも維持費などで税金が余計にかかる)お役所的なこの仕組みって何なんだろう?と思った時に見つけたのが、電通アメリカに異動になってニューヨーク暮らしを始めた佐々木康晴さんのこのブログ。いかにも日本的な仕組みをうまく言い表しているなぁと思った。

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例えて言えば、日本の組織がPCみたいに正確な精密機械だとすると、こちらの組織は古いアメ車みたいなもの。うまく動かないところがあれば、自分でその部品を叩いて直せばいい。構造がシンプルだからすぐ直る。でも逆に日本は精密すぎて、何かがうまくいかない場合、どこが悪いのかすぐに分からなかったり、いろいろあって直すのに時間がかかったりするのかも。マザーボードごとえいやっと交換しちゃえたらいいのにね。
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◇給料がもらえなかったけど、僕は元気です。 | AdverTimes(アドタイ)
http://www.advertimes.com/20111124/article40977/

たしかにきっちり動く「精密機械」の安心感はある。誰かに怒られないように無難に無難に仕事をこなした結果ともいえる。でもこのことが、考えを硬直させコストばかりかかる仕組みを作り出しているんじゃない? 叩けば直るような柔軟さがもう少しあってもいい。役所ばかりじゃなく、この国の全体に。ほら、自分の作った精密さに縛られてがんじがらめになっている様子があちこちに見えるじゃない?

もしかしたら今度の日曜日に大阪で行われる選挙って、佐々木さんの言うマザーボードの交換なのかもしれないなぁ。どうなるんだろうね。