被災地に初めてのお盆

震災から約5ヵ月。「だんだん復興しているんでしょ?」という雰囲気が広がっていることに違和感を持たずにはいられない。

先月から始めたflickrに、津波の被害を受けた福島県新地町の海岸近くの集落跡で撮った写真を入れてある。
http://www.flickr.com/photos/furumachi/6003772429/in/photostream
http://www.flickr.com/photos/furumachi/5993419592/in/photostream/

ここは海岸に沿って数十軒の家屋や店舗が立ち並ぶ比較的大きい集落だったが、この通り何もかも破壊されつくしてしまった。集落があったなんて、言われないと分からないほど。かろうじて残された土台の跡が、ここに家並みがあったことを物語っている。信号は壊れたまま、電気もまだ通っていない。7月下旬でまだこの状態。震災直後からほとんど変わっていない。これが現実だ。

今回、福島浜通りの妻の実家を訪ね、再び海岸近くの集落跡を見てきた。家の土台跡には砂や草が覆いはじめ、崩れた護岸を乗り越えて陸地だった場所まで海水が侵食していた。人間の営みが突然途絶えて、一帯が自然に還りつつある。少なくとも宮城南部から福島浜通りにかけて、通称浜街道沿いの集落はどこも一緒だ。

この状況を見ると、ここに新たな集落を建設してもとの状態に復旧するというのが、途方もないことのように思えてくる。海岸と平行して走る仙台南部道路は、10m近い土盛りが防波堤になって、これより内陸部ではほとんど津波の被害がなかったという。いっそ、海岸沿いもこのような道路で固めてしまうのがいいのでは、とさえ思ってしまう。

でも今回、海岸沿いの人気のない集落跡に、ところどころクルマと人が集まっているのに気づいた。そこにあったのはお墓。今日は震災後、初めてのお盆。おそらくこの集落に住んでいた家族や親戚がお墓参りに来ていたのだのだろう。人気のない集落跡だけど、ここは何百年もの間、先祖代々暮らしてきた生活の場。そう簡単に道路で固めるなんてできるわけがない。

「だんだん復興してきている」というのは、被災地の県全体としては事実だと思う。でも一方で、復興のスタートラインにすら立てない人も多いというのも事実。原野のようになってしまった浜街道沿いのあちこちでお墓参りをする人たちの姿を見たら、どうにも切なくなってしまった。