水と土の歴史に感謝

正直、来年また「水と土の芸術祭」をやると聞いて、ホントにまたやるの?くらいに思っていた。でも県内を襲った今回の水害で改めて、水と土の歴史に感謝し語り継ぐ必要があるんじゃないかと思い直した。

今回の水害で印象に残っているのが、信濃川の空撮映像。畑や果樹園の広がる河川敷が濁流に飲み込まれているのと対照的に、堤防の外側は青々とした田んぼが広がっていた。もしこの堤防がなかったら、もっと甚大な被害になっていたはず。

そして下流の関屋分水との分岐点では、上流から流れてくる大量の泥水を関屋分水へゴウゴウと排出する様子が見られた。もし関屋分水がなかったら、新潟市中央部に信濃川の水があふれ出して大きな被害を出していた可能性が高い。

堤防と分水路。これらはまさに先人たちが水と土との闘いの歴史を積み重ねた結果の産物だ。このことは忘れてはいけないし、語り継いでいかなければならない。そこで「水と土の芸術祭」。

新潟市で2008年に続いて来年行われるこの芸術祭は、全国各地で近年行われているクールでかっこいいアートイベントとは少し違うと思う。水と土の歴史に根差したアートを見て触れて自分で作ってみる。このことが先人たちの偉業を実感し、語り継ぐことにつながる。水との闘いを描いた退屈な記録映画を見せられるよりも、ずっとリアルに。

今週末から古町で、来年の芸術祭に向けたプレイベントが行われる。
◇「みずっちパラダイスin古町通6」開催〜水と土の芸術祭 2012
http://www.mizu-tsuchi.jp/topics/2011/07/post-5.html
3日には新事務所もオープンし、いよいよ来年の芸術祭に向けた動きが本格化する。

まだどんな芸術祭になるのか見えない部分は多いけど、この芸術祭の意義みたいなものを再確認した今、改めてちょっと関わってみようかなと思っている。個人的にも関屋分水に「ありがとう」を言いたいくらいなので。