蒲原まつりが賑わう理由

栗の木バイパス沿いにのぼりが何本も立ち並ぶ。新潟に夏の訪れを告げる蒲原まつりが、きょう30日から始まる。

「蒲原まつりはどうしてあんなに賑わうのか」、実はずっと疑問だった。普段は線路の高架とバイパスに挟まれひっそり目立たない蒲原神社に、あれだけ多くの人と露店が集まる。この疑問が晴れたのが2009年の「水と土の芸術祭」で亀田郷をめぐるバスツアーだった。
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蒲原神社の前を走る栗の木バイパスはかつて川だった。この栗の木川は、阿賀野川信濃川・小阿賀川に囲まれた広い亀田郷を網目のように流れる多くの川を集めて、信濃川に注ぐ。栗の木川沿いは亀田郷の舟運の拠点で、今もバイパスに沿って味噌屋や酒蔵などの醸造所が並ぶ。かつては亀田郷で取れたコメを集める米蔵などもあったのだろう。

亀田郷は長年「地図にない湖」といわれ、水との闘いに悩まされてきた。鳥屋野潟の泥をさらって田んぼを築いても、ひとたび水害に遭えば台無しになってしまう。水害に抵抗するには神頼み。そんな亀田郷の信仰を一手に受けてきたのが、栗ノ木川の舟運の拠点にあった蒲原神社なのだ。梅雨の真っただ中に祭りが行われるのはこういうことらしい。

今はバイパスの側道にずらりと並ぶ露店も、かつては川沿いに並んでいたのかもしれない。川には亀田郷から参拝に集まった船が所狭しと浮かんでいただろう。クルマがびゅんびゅん走り抜ける今のバイパスからは想像しづらいけど、なかなか情緒ある風景だったと思われる。

今の祭りの風景も近々変わることになる。栗の木バイパスに高架道路の建設が計画されているからだ。今は側道に並ぶ露店も、ゆくゆくは高架の下にずらりと並ぶようになるのかもしれない。情緒がなくなる? いや、これはこれでまた新しい蒲原まつりの風景になるんじゃないかな。高架道路が必要かどうかはさておき。