世界とつながるローカル

この業界の隅っこにいる人間として、カンヌで国際広告賞というのが毎年行われているのは知っていたけど、自分の仕事とは無縁と思い込んでいた。でも、そうではなかったんだ。

今年のカンヌ国際広告賞(今年からadvertisingではなくcreativityに名前が変わったから、正しくは広告賞というより創造性賞という感じ)のメディア部門で、岩手県の地方新聞社、岩手日報社の個人号外発行サービス「イワッテ」が金賞を受賞した。日本の地方新聞社のサービスがこうした世界的な賞を受賞するのは初めてじゃないかな。

◇「オメデトウを、号外する。」イワッテ
http://iwatte.jp/top

このサービスは、結婚式や子どもの誕生など個人的なお祝いの場面に「号外」を発行するというもの。オモテ面には本人の写真と記事、裏面にはお祝い当日の新聞1面の記事を入れられるという。

…とここまで書くと、この業界で働く人なら結構思いつくアイデアじゃない?と思うかもしれない。でも、これを新聞社のブランドと記事素材を使って新商品としてちゃんとデビューさせ、しかもWebでカンタンに作ってみせることができるというのが評価されたのだろう。

これ、うちの子が生まれた時とか作ってみたかったなぁ。そう、このアイデア自体は、全国(もしかしたら全世界?)どこの新聞社でも通用する。ローカルの創造力が世界とつながるというのはこういうことなのかも。うれしい気持ちを伝えたいと思うのは世界共通のはずだし。何も世界的な賞をもらったから、というだけでなくて。

この広告賞では他にも、以前このブログに書いた九州新幹線全通のCMがメディア部門とアウトドア部門で受賞している。
http://yaplog.jp/furumachi/archive/1270
これも「新幹線が通った」という極めてローカルな表現が世界に通用したのだと思う。この撮影にあわせて、沿線で多くの地元住民に参加してもらったこと自体をイベントととらえてアウトドア部門を受賞したのも興味深い。

「イワッテ」を真似たサービスはこれからあっという間に全国に広がりそうな気がする。でも「イワッテ」というネーミングは岩手ならでは、だよなぁ。そこがちょっと悔しい(そこかよ)。