5年後は14歳

柳美里の「ゴールドラッシュ」、主人公の「少年」は14歳。ということは、うちの長男もあと5年もするとこういう年代になるのか…。

きょうで長男は9歳になった。長かったような気もするけど、5歳頃からは加速度がついて時間が過ぎているような気もする。14歳なんてまだ先と今は思っているけど、意外にすぐなのかもしれない。

「ゴールドラッシュ」の少年は14歳にしてすごい日々を過ごしている。ネタバレになるのであまり具体的には書かないけど、自分の子どもがこんな14歳になるとは普通の親なら思わない。

ただ、この少年と同じような心境に陥る年代なんだというのは分かる気がする。先に広い空が広がっているのが分かっているのに、まるで蓋で押さえつけられているかのように身動きが取れない、そんな年代。蓋というのは、学校だったり親だったり世間体だったりするわけだけど。ほとんどの子どもたちはこの蓋を揺さぶったりする程度で、たいてい妥協して時が過ぎるのを待つ。

後になって考えれば、この年代には妥協することも必要なんだと思う。もし蓋を壊して、広い空に飛び立つことができたら…。広いと思っていた空にはすぐに暗雲が立ち込め、飛べると思っていた翼はいとも簡単に折れてしまうはず。

果たして14歳は大人なのか子どもなのか。世間的には当然子どもなんだけど、本人はそうは思っていないことも多い。かといって、狡猾で汚い大人とは一緒にされたくない。だから「ゴールドラッシュ」の少年は「子どもでもおとなでもない」と言うのだが、これに対してヤクザの金本が、子どもがどうなると大人になるかを伝える言葉は実に深い。ぜひ5年後まで覚えておきたい。

難しい年代なんだろう、周りも本人も。YouTubeでドリフのコントを観て無邪気に笑い死にしそうになっている今の年代は、まだ気楽でいいのかもしれない。