シモ - 歴史ある街並みに光

furumachi2012-04-13

新潟市中心部に連なるいくつかの街並みの歴史や表情を個人的視点でとらえてきた「新・都市論NIIGATA」的なシリーズ。古町、万代、駅南、万代島と取り上げてきたけど、最後は我が街「シモ」を歩いてみたい。

…と言っても、そもそも地図にシモなんて載っていないし、道は複雑だし、県外などから初めて来る人には分かりにくい。白山神社寄りの「カミ」に対して、信濃川下流寄り、河口近くの一帯をシモと呼んでいるけど、どこからシモかもはっきりしない。広小路から? それとも柾谷小路から?

それでも下本町がシモの中心部というのは、そう異論はないと思う。道端に露店も並ぶ下本町は近所の住民などで賑わう。この周辺はかつて助賈(すけご)と言われる魚の行商が多数いたとされ、今も賑わう下本町商店街や、周辺に何軒かある蒲鉾工場は、きっと魚屋の街の名残なのだろう。

この下本町商店街の信濃川寄り、上大川前通はかつて回船問屋が多く並んでいた。最近では回船問屋だった旧小沢家のお屋敷が改修して「北前船の時代館」としてオープンしたのをきっかけに、黒い板壁を基調とした木造家屋の街並みが形成されつつある。街の歴史に光が当たり始めている。

そして下本町とみなとぴあを結ぶ早川堀通りでは、道路幅を縮小し緑地帯を整備する計画が進んでいる。ここにはかつて、白山で取り入れた川の水が、西堀東堀を経て、再び信濃川へ流れ込む最下流の堀があった。街で糞尿を集めた肥やし船が集積して、趣ある風景とは言えなかったらしいけど。

かつての堀をそのまま再現するわけではないけど、水辺空間のある緑地帯が整備されることで、街の持つ土地の記憶がよみがえることになる。このことはシモにとって、とても意義深い。みなとぴあと下本町が散策ルートとしてつながることもあり、街の雰囲気が大きく変わる可能性がある。

ようやく暖かくなってきた。シモは神社やお地蔵さんなどが点在しているし、食べ歩きスポットも数多くあるので、歩いて楽しい街だと思う。道は複雑かもしれないけど、迷ったらNEXT21に向かって歩けば古町には戻れるはず。まだ見ぬ新潟の街の歴史が見えてくるかも…。